イライラしたり、骨がもろくなる

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枝豆+チーズ

骨をつくるのに欠かせない、大切な栄養素としてよく知られているカルシウム。しかし、きちんとカルシウムをとっていると思っていても、とんでもない食べ合わせでせっかくのカルシウム分をムダにしていることもあります。

たとえば<枝豆+チーズ>。そして女性の美容食の<玄米+コンニャク>の食べ合わせ。

ビアホールで、枝豆とチーズをおつまみにジョッキを傾けている人たちをよく見かけます。これが困りものなのです。チーズは確かに600mgものカルシウムを含んでいますが、そのせっかくのカルシウムも枝豆のフィチン酸で妨害されてしまうからです。日本酒党なら<ほうれん草+ワカサギのフライ>というところでしょうか。これも困った食べ合わせです。ほうれん草に含まれるシュウ酸が、ワカサギのカルシウムを妨げてしまうのです。

玄米とコンニャクも、<枝豆+チーズ>の場合と同じことが言えます。玄米のフィチン酸がコンニャクのカルシウムの吸収を妨げます。

カルシウムの働きは、骨をつくるだけではありません。

「最近、なんだかすぐカッとしてしまうなあ」――そんな自分に気づくことがないでしょうか。ちょっとしたことですぐ部長や上司と言い争う。わが家に帰れば、子どものしつけが悪いと奥さんに当り散らす。――まだこの程度ならいいですが、カッとするあまり仕事上でミスを重ね、左遷などされたりしたら手遅れです。実際、企業の管理職には最近こんな病気でない病気が広がりつつあります。

ところが、その原因は意外と簡単なことなのです。ともすれば、〝精神科の範疇〟と思われがちなこのイライラ、ヒステリーが、実はカルシウム不足によって引きおこされたケースが多いのです。

なぜカルシウムが不足するとイライラ、ヒステリーが起きるのでしょう。それは、血液中のカルシウム・イオンの量が減って、神経細胞の働きが過敏になりすぎるためです。逆に言えば、カルシウムが神経細胞の働きを抑制する役目を果たしているということです。健康人なら、この抑制機能が正常に働いて、精神状態も安定しているというわけです。

カルシウムは、血液ともかかわっています。

一級建築士のAさん(43歳)は、ある日仕事中にカッターを使っていて、誤って指を切ってしまいました。たいしたことはないと軽く考えていたのですが、血がなかなか止まりせん。Aさんはもともと貧血ぎみだったこともあって、間もなく失神してしまいました。「たかが指を切ったくらいで大げさな・・・・・」と同僚に笑われてしまいましたが、これもカルシウム不足のせいでした。血液は、ご存じのようにいったん体の外に出ると固まるという性質を持っています。ところがカルシウムが不足すると、血液が凝固しにくくなってしますのです。

〝やり手〟と言われる商社マンのBさんは、まだ40歳の声を聞かないというのに、最近、歯がめっきり弱くなってきました。これにも原因がありました。Bさんの食事は最近酸性食品が多く、すっかり酸性に傾いた体質になってしまっていたのでした。

ちなみに、「血液が酸性になると病気になりやすいとか、疲れやすい」といった言葉をよく耳にしますが、実際に血液が酸性になることはありえません。血液のpH7.0が中性で、7.0以上がアルカリ性なのです。そして私たちの血液は常にpH7.35から7.45のあいだに保たれています。このあいだでの変化でしかないのです。

食品の酸性・アルカリ性は元素の灰によって決まります。食品が燃焼したときにナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウムの灰が残る食品をアルカリ性食品といい、果物・野菜・海藻がこれに属します。硫黄・リン・塩素の灰が残る食品を酸性食品といい、肉類・殻類がこれに属します。両者をバランスよく食べることが必要なのです。

酸性食品には、リンがたくさん含まれています。リンをとりすぎると、不要のリンが体内のカルシウム分を道連れにして、腎臓から尿となって排泄されてしまいます。その結果、カルシウム不足になり、歯を支えている下アゴの歯槽骨がもろくなってしまったのです。これを防ぐには、カルシウムで酸性に傾いた体質を弱アルカリ体質に変えてやらねばなりません。

カルシウムというのは、これほど私たちの体にとって大事な成分なのですが、たいていの人たちは「カルシウムなんて子どもか妊婦の栄養素じゃないか。いい大人がそんなの・・・・・」と馬鹿にします。こうしたことからか、毎年おこなわれる国民栄養調査で不足している栄養素の一つです。

カルシウムなんて、改めてとらなくたって、ふつうの食品の中含まれてるんだろう?

もう歯が悪くなってしまった自分に、カルシウムなんて今さら必要ないよ」あなたもそうお考えでしょうか。

でもそれは大きな間違いです。カルシウムは、年歳をとるほどたくさん、努力して摂取しなければなりません。たとえ総入れ歯になってしまったあとでも、充分にとらなければならない栄養素です。前述の実例がそれを示していますね。

日本では、カルシウムの推定平均必要量を、12~14歳の成長期で一日男子0.85g、女子0.7g、15歳以上は男女とも平均0.55~0.65でよいとしています。でも欧米では、中年から老年者のカルシウム必要量を「一日0.8g以上」としています。つまり、日本の成長期とほぼ同じ量が望ましいとしているわけです。

ところが、平成25年度の「国民栄養調査」によると、私たち成人の一日当たりのカルシウム摂取量は0.48g。0.3g以上も不足しているのです。

私たちの骨は、成人になってからでも毎日新しくつくりかえられています。カルシウムのおかげです。だから、中年以後にカルシウムが不足すると腰痛や骨折などを起こしやすくなります。女性の場合はとくに、骨粗しょう症と言って、骨の石灰分が少なくなり、いわゆるスの入った大根のようになってしまう怖い病気にかかります。これでは、ちょっとしたもののはずみで骨折してしまうのも当然です。

この病気は閉経後の女性に多いものです。骨ばかりではありません。前述のように、ヒステリー症状や血液の凝固を防いでくれるカルシウムは私たちの体液を弱アルカリ性に保ち、私たちの健康を維持してくれます。老化現象を防いでいるのですから、年齢をとるほどせっせととらなくてはなりません。

また、年齢をとるほど体内でのカルシウムの吸収が悪くなりますから、ますます量を増やさなければならないのです。量はもちろん、食べ合わせの知恵でムダのない摂取をしなくてはなりません。日頃酸性食品の多い人はなおさらですね。

さて、これまでのご説明で、特に中年以降の私たちの体にとって、カルシウムがどんなに大事なものであるかということがおわかりいただけたでしょうか。

食べ合わせの知恵

<ご飯+切干し大根>

一見弱そうな切り干し大根には驚くほどのカルシウムが含まれています。また、近頃私たちの食卓から姿を消してしまった佃煮もカルシウムの宝庫。ほかには、わかめ、干しエビ、煮干しなども食べ合わせるとよいでしょう。

出典:体にいいつもりが逆効果!やってはいけない「食べ合わせ」

著者: 栄養学博士 白鳥早奈英

発行者:青春出版社

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