サプリメント販売会社が化粧品を導入した事例
化粧品の企画開発製造ご依頼の経緯
サプリメント販売会社様より、化粧品を製造して販売したいとの相談が入りました。この会社は定価が1か月10,000円程度のメイン商品と半月分で8,000円の商品を2アイテム、5,000円程度の商品を1アイテム持っています。特にサプリメントから化粧品の購入に直結しやすいプラセンタやプロテオグリカン、コラーゲンなどの商品は持っていませんでした。
まずは、「化粧品のアイテムを何にするのか」です。今回の場合、最初は美容液1品からのスタートになりました。しかし、その方針だけでは、美容液は開発できません。会社の方針として、今後はどうしたいのか。ずっと単品で行くのか、化粧水も加えた2品で行くのか、クリームもラインアップに入れるのか、洗顔はどうするのか。クレンジングと洗顔の2アイテムにするのか、1アイテムでクレンジングも洗顔もというものにするのかなど、今後のビジョンを基にした戦略から、今回企画開発製造する美容液の立ち位置が決まります。
美容液の顧客層を想定し販売まで含めた企画開発
販売方法は、アウトバウンドの通信販売で自社のコールセンターを3か所持っていて、それを活用します。各コールセンターのマネージメント陣には化粧品を本格的に販売した経験者はいないため、「どういう化粧品を開発すべきか」というミーティングにコールセンターのマネージメント陣にも参加してもらいました。
当社では、サプリメントも化粧品も両方とも企画開発製造し、化粧品の販売のみ、サプリメントの販売のみ、化粧品の販売からサプリメントを取り入れた会社も、今回の依頼のようにサプリメントの販売から化粧品を取り入れた会社も見てきて、販売スタッフの研修までしているため、このクライアント様が必要とすることは掴めています。つまり、このクライアント様は化粧品の販売経験がないため、シミやしわのメカニズムなど肌の基礎知識すら持っていないレベルの方々が販売していくことを前提に考える必要がありました。
化粧品販売研修では、「難しいことばを使わずに」「伝えやすくて」「差別化ができる」をベースに「他に無い強み」を持たせる必要がありました。
まずは、ターゲット層の肌の特徴とその対策を何でどうするのかを説明しました。この会社の顧客層は50代以上の女性がほとんどです。15年続いていますので、当時60歳だった方は75歳になっているため、60代以上も多いという特徴があります。
- 更年期も終わり、女性ホルモンであるエストロゲンに守られていない
- 水分量も少なくなっているが、脂質もかなり少ない
- 肌が薄くなっている
- シミやしわ、乾燥などの基本的な悩みを持っている
これらに対応するためにEGFやFGFで有名な肌の代謝を高める成長因子がしっかり入っている成分を高配合することにしました。「プラセンタの●倍の成長因子」と表現できる成分を配合することで誰もが知っている「プラセンタよりも優れた成分」とアピールできます。また、その成分を高濃度で配合することでこの商品の強みができました。
また、エストロゲンの減少による肌機能の衰えを補うために、女性ホルモン様成分を補うことも考えましたが、今回は話題の成分「ピクノジェノールR」を配合しました。ピクノジェノールRを高配合すると濃いオレンジがかった褐色になります。この色を強みの一つにしました。「この色がピクノジェノールRを高配合した証なのです」と言えるのです。
その他保湿成分は何にするのか、補う油分は何にするのか、その配合理由は何なのかなども説明し、開発の方向性に合意を得て、企画開発協定書という開発を進めていくための契約を交わしました。この契約には守秘義務や試作に関することなどが織り込まれています。
美容液の製造量
次に、美容液を製造する数量をどうするかの話しになりました。クライアント様は、サプリメントの販売経験は長いものの、化粧品は初めてということもあり、最初は小ロットから製造したいという意向がありました。
しかし、目標としている製造量は年間12,000個とのことでしたので、「3,000個の製造を年4回まで早くに持っていきたい」とのことでした。そこで、3,000個製造時を基本に初期の1,000個という小ロットでの価格を見積もるという方式を取りました。
容器は3,000個製造し、充填は1,000個づつになりました。1,000個で印刷できる容器が少ないため、3,000個の方が容器の選択肢が増えるのと、容器の製造、印刷に時間がかかるため、タイムリーに製造できる環境を整えたいということで決まりました。
販売のための準備
ブランド名と商品名も考えて頂きました。マネージメント陣で多くの案を出し、最終の候補に残った数点を商標に引っかかることが無いか弁理士に依頼して調べてもらい、決定しました。そしてロゴのデザインを作りました。
試作品をターゲット層と同じ年代の方にモニターをして頂き、高評価を得られたので、今回の試作は1回で済みました。
容量、容器、価格などが決定し、発注をいただく準備ができましたので、売買取引契約書と商品毎に締結する商品の覚書の契約を結びました。
商品名の登録
商品名を東京都の薬務課に届け出します。それが受理されると商品名が決定されます。その場合、商品名にアルファベットが多いと受理されない場合もありますので気を付ける必要があります。過去、商品名をアルファベットにしたクライアント様で、実際に受理されずその部分をカタカナにする代案に決まったこともあります。
また、単語と単語の間を空けるのか空けないのか、空ける場合は半角なのか全角なのかも決める必要があります。容器や化粧箱には届け出たものを記載する必要があるからです。これらの当社が行います。
パッケージのデザイン
商品名も決まり、次にパッケージのデザインに入ります。今回はデザインの依頼も当社で受けました。
顧客層がやや上の年齢のため、品がありつつ質素になりすぎない、コストを掛けすぎないという要件でデザインを依頼しました。
デザインの中心はブランド名でしたので、バランスと色の選択が中心になり、初回に4つの案が出てきて、その中から1つを選び、2回目は色のバリエーションで3パターン、その中から選んだ1つからさらに色のバリエーションをもう1パターン出して頂き、最終的に決まりました。
色校正で上がった容器を利用してパンフレットやホームページで使う写真を撮影します。
社内での商品説明会
発売の1か月前から予約販売をするとのことでしたので、コールセンターでのコミュニケーターさんを対象にした商品勉強会の1回目の依頼がありました。パワーポイントで作った資料をプロジェクターで白い壁に映しての説明になります。
この事業の責任者の方からこの商品のコンセプトや目的、会社にとっての位置づけ、商品のネーミングの由来などの説明があったあと、当社から商品の概要、特徴の説明が始まりました。
今回はメインとなる4つの成分説明と商品の全体像の話しをしました。1つの成分でいくつかの働きをするものもありますが、化粧品の知識が浅いので、細かいところまでは話さず、商品の根幹を理解してもらうことに1回目は主眼を置きました。また、パンフレットに書かれていることの理解度を深めること、パンフレットから想定される疑問、質問を皆で考え、その回答をする時間も設けました。コールセンターは3か所ありますので、3回同じ内容を行いました。時間にして1時間程度を要しました。
商品が納品される週に2回目の商品研修の依頼を受けました。肌の構造とこの美容液によって肌が改善される仕組みの説明を中心に行いました。この商品の保湿に対するアプローチはどうなっているのか、シミが薄くなる理由を基底層から角質層までの間で何が起こっているのかなどの、少し専門的な知識も増やして行きました。この勉強会により、改めてこの商品が深く考えられて作られていることがわかり、より自信を持って勧められるようになるのが目的の一つでした。この時もパワーポイントでプレゼンテーションのデータを作り、プロジェクターを使っての説明でした。
3回目の勉強会の依頼は季節の変わる前に依頼されました。内容に関しては秋に向けてのこの美容液の位置づけを話して欲しいとの具体的なリクエストがありました。夏のダメージを受けた肌、冬の乾燥が始まる前の時期に、この美容液がどう役に立つのかを説明することで、コールセンターのコミュニケーターさん達の話しのネタの提供と知識を深めることができました。
美容液の販売結果
このような形で、1,000個の製造を6か月で3回行い、次からは2,000個単位での製造になって行きました。
このサプリメントの販売会社が非常に有効だったのが、既存顧客への販売による売り上げ増もですが、休眠顧客へのアプローチがとても有効だったそうです。サプリメントの顧客に対し今まではサプリメントでアプローチしていたのですが、レスポンスも引き上げ率もサプリメントの時よりも良かったそうです。
当社ではサプリメント販売会社の化粧品OEM製造実績が多数あります。化粧品を開発したい方は、当社までお問い合わせください。