脂肪による胃もたれを防ぐ
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果物+肉料理
「近頃、油っぽいものを食べるとどうも胃にもたれて・・・・・」
中年族のあいだでよくこういう声を耳にします。もたれてしまってから治すのには骨が折れますが、要は事前にもたれないように手当てしておくことが肝心です。油っこいものの消化を促進するという点で、果物にまさるものはありません。
レストランでポークソテーを頼むと、豚肉の横に輪切りのパイナップルがついてきます。これにはちゃんと理由があるのです。
胃液にはペプシンというタンパク質分解酵素があり、そのため胃の中のタンパク食品が入ってくると、ペプシンと胃液の分泌が活発になり、胃のぜん動は弱まります。時間をかけてゆっくり料理・・・・・というわけです。
糖質食品の場合には、ペプシンは〝知らぬ顔の半兵衛〟なので胃液はあまり分泌されず、胃のぜん動は高まって早く腸に送り出そうとします。ところが肉のような高脂肪食品が入ってくると、胃液の分泌は抑えられたまま胃袋のぜん動も弱まり、したがって食べ物の胃の中での滞留時間が長くなる。時をかけるくせにちっとも消化しない・・・・・というわけで、油っこいものを食べると胃にもたれるのはこのためです。
油っこいものの中での滞留時間は、ビフテキで3時間15分、バターで12時間かかります。用途は違いますが、お酒を飲むときチーズを先に食べるのは、胃壁を保護する意味できわめて効果があることがこれで実証されますね。
ポークソテーにパイナップルを食べ合わせれば、パイナップルの酵素ブロメリンが肉を分解するとともにクエン酸が胃壁を刺激し、胃液の分泌を盛んにするので、脂肪の多い豚肉もすみやかに消化され、胃のもたれを感じることなく、さっぱりした味わいで食べることができます。中華料理に〝酢豚〟というのがありますが、この料理も消化がよいわけですね。
また、魚のフライにはレモンがついてきます。これも同じ根拠の食べ合わせです。
クエン酸の豊富な果物には、オレンジやリンゴ、パパイヤなどがあります。梅干しも効果的です
パパイヤにはパパインというタンパク質分解酵素が含まれているので、肉の消化が一段とよくなります。肉料理でもないものにも、果物の効果は充分でます。
果物の代わりに、酢の物を使えばもっと直接的ですね。たとえば天ぷらにはわかめの酢の物・・・・・といった具合です。アジやワカサギは、天ぷらにして甘酢に漬けると骨まで食べられて一挙両得です。
肉料理にはサラダがつきものですが、この場合もサラダ油を控えめにしてお酢を少しきつめにすると、後味がさっぱりして胃もたれがしません。
野菜では、トマトの酸味もぜひ利用したいものです。ビーフシチュー、ブイヤベースなどに、トマトをたっぷり入れ酸味を利かせれば、味の面でも栄養面でもグッと質の高いものになります。
出典:体にいいつもりが逆効果!やってはいけない「食べ合わせ」
著者: 栄養学博士 白鳥早奈英
発行者:青春出版社