食欲アップ
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キノコご飯+柿なます
「お腹が空かない・・・・・」「何も食べたくない・・・・・」と訴える女性が、私どもの研究室にもよくお見えになります。食欲不振には、二通りの原因が考えられています。
一つは、体の臓器疾患によるものです。消化器系の疾患によるものがほとんどで、食道、肝臓、胆のう、膵臓、腸、胃袋と幅広いのですが、最も多いのは胃に何かの異状を生じている場合です。
呼吸器疾患、循環器障害、泌尿器関係などもまれにありますが、こうなってはもはや重症患者。即入院で、とても「食欲がなくて・・・・・」などとのんびりとしたことは言っていられません。利尿剤、解熱剤など、薬を常用した結果起きる食欲不振も、この際除外しておきましょう。
もう一つは神経性の食欲不振です。強いストレス、不安、恐怖、心配事などですね。心配事や不安、恐怖により食欲不振は一過性のもので、原因になっているものが取り除かれれば、食欲は当然回復してきます。やっきなのは、自分でもそれと気づかないストレスの場合です。
この場合は、ストレスがなくなるのを待っていられませんから、食事のほうから食欲不振を解消していかなくてはなりません。
私なら、下戸の人にもまずワイン、ブランデー、ウィスキーを少量おすすめします。食欲不振には、味覚はもちろん嗅覚、視覚まで動員しなければなりませんが、アペリティフ(食前酒)はまず嗅覚をくすぐり、胃を刺激し、軽い酔いによって食欲不振を忘れさせます。
さて料理のほうですが、<キノコご飯+柿なます>などいかがでしょう。
キノコはマツタケなら申し分ありませんが、価格に問題があります。シメジやエノキダケでも結構。キノコの香りが食欲をそそります。なますには柿、菊の花と大根を用います。ジアスターゼが消化を助け、β-カロテン・ビタミンCがストレス解消に作用します。なますが胃液の分泌を促します。できればユズやカボスを加えたいものです。果物に含まれるクエン酸も胃液の分泌を助けます。取り合わせも美しく彩り鮮やかです。
<シイタケ+ほうれん草+鶏肉>の油炒めにアスパラ・サラダの食べ合わせも、同じ意味で食欲不振に有効。魚を食べるときは、ショウガをたっぷり添えて魚の生臭味を取り除く工夫をしましょう。
キノコ料理は食欲をそそるものですが、それには理由があります。シイタケにあるうま味成分、グアニル酸・レンチオニンがそれ。この成分はシイタケ自体のうま味をかもし出すだけでなく、ほかの材料にも作用するという面白い効果を持っています。とくに野菜や肉類とは相性がよく、それぞれのうま味が相乗効果を生んで新しい風味を作りだすのです。
ほかにうま味の強いものには、貝類のコハク酸、肉類・カツオ節のイノシン酸などがあります。果物のグレープフルーツのヌートカトンは、匂いをかぐだけでダイエット効果があるとされています。
食べ合わせの知恵
<ワイン+パン>
食前酒にワインを飲むことにより、緊張がとれ、食欲がグンと増します。
<レモンジュース+パン>
レモンのクエン酸が胃を刺激し、胃液の分泌がさかんになります。
<キノコ+ご飯>
キノコ類は香りもよく、食欲をそそります。うま味成分も含まれています。
<ユズ・カボス・橙+野菜>
口当たりのいい生野菜に柑橘類の芳香成分が食欲をそそります。カツオ節やゴマ油をかけると栄養バランスもよくなります。
出典:体にいいつもりが逆効果!やってはいけない「食べ合わせ」
著者: 栄養学博士 白鳥早奈英
発行者:青春出版社