毛艶を良くする猫用サプリメントの開発事例
猫用サプリメントの開発のご依頼は、人用のサプリメントの通販をしている企業の社長様からのご依頼でした。その社長様は、猫を家族のようにかわいがっていました。そして、「自分のようにペットをかわいがっている人は多いはずだ。」と常日頃お考えでした。
そこで当社に、「猫の毛艶がよくなるサプリメントを開発してもらいたい」とのご依頼がありました。
当社の企画担当が、猫の毛艶をよくするためには何が必要か、どうしたら猫に食べてもらえるかを考えました。
猫はよっぽどおいしい塊でないと食べないため、パウダー状にして、普段食べているエサに振りかけて使用する「ふりかけ」タイプをご提案いたしました。
猫用の毛艶をよくするサプリメントの企画提案
そのご提案では、次の3つをコンセプトとしました。
1.代謝
人であれ動物であれ、毛は毛母細胞で作られています。毛母細胞は常に代謝を繰り返しているので、代謝を高めてあげると毛の発育がよくなり、毛艶が良くなりやすいと考えました。
2.腸内環境
ペットが、毛艶の良くなる成分を食べても、腸で栄養がしっかり吸収できない状態では、効果が軽減してしまいます。しっかり栄養を吸収できる状態になるように、腸内環境を整える成分を入れることにしました。よい腸内環境だと食欲も出ます。
3.良質な毛を作るための栄養補給
そして最後に、毛の成分です。代謝が高まり、腸での吸収がよくなると、毛の栄養も吸収され、毛艶が良くなると考えました。
猫用サプリメント開発での注意点
猫用サプリメントと人間用サプリメントの開発で大きく異なることは、人間は粒やカプセルを飲み込むことができます。しかし、猫はカプセルを飲み込むことができないことに加え、ある程度おいしく作らないといけません。
そのために、渋い成分や苦い成分が入れずに処方を組まなければならなりません。そのために、使いたい成分が使えない場合があります。
処方の工夫
1.代謝
ノウハウになるので申し上げにくいですが、代謝に関しては、効果効能と味の面からRNAを含むポリアミン含有酵母エキスを採用しました。毛艶に必要なタンパク合成能力を積極的に高める成分です。
RNAとはリボ核酸と言われ、遺伝子DNAの情報を読み取って、必要なタンパク質を作る、タンパク合成に欠かせない成分です。体内では主に肝臓でつくられますが、加齢とともに減っていきます。この核酸の減少が老化に直接的に影響を与えています。
ポリアミンとは、ウィルスからヒトに至るまで、生物界に広く存在する生理活性成分です。人間の体内には20種類以上のポリアミンが存在します。主として核酸、特にRNAと相互作用することによって細胞増殖因子として機能し、タンパク合成を促進させます。胎児や新生児の細胞では、ポリアミンの合成能力が高く、細胞の増殖能も高くなっています。また、ポリアミンは母親の母乳にも多く含まれていることが知られています。
2.腸内環境
腸内環境は、数種類の乳酸菌とオリゴ糖を使いました。
猫の胃酸は人間より強く、殺菌力が高いため、それに負けないような乳酸菌を選ぶ必要性がありました。そこで、乳酸菌の一つに生きた有胞子性乳酸菌を採用しました。
有胞子性乳酸菌は通常の乳酸菌と異なり、胞子を形成します。この胞子の鎧によって、熱や胆汁、胃酸などから自身を守ります。腸の適度な水分と温度により、休眠していた乳酸菌が目を覚まし、活動を始め、増殖していきます。
有胞子性乳酸菌は、糖などをエサとして乳酸を作り出します。その乳酸が腸内のpHを整え、悪玉菌の繁殖を抑えて、善玉菌の繁殖を促します。
有胞子性乳酸菌は、いずれ排便によって腸から出ていくことになりますが、腸内で繁殖を繰り返すために、通常の乳酸菌よりも長く体内に保つ特長があります。
猫にも、それぞれに良い腸内フローラがあります。オリゴ糖にはいろいろな種類があり、菌の種類によって、好まれるオリゴ糖の種類があります。そこで、腸内環境を整えるのに重要な善玉菌を増やすためのオリゴ糖を4種類入れました。
菌が胃腸内で分解されて死んでしまっても、菌の成分が吸収されるので、腸内環境を整えてくれる性質があります。しかし、サプリメントとして販売するのであれば、生きている方が消費者に選んでもらいやすくなります。ところが、サプリメントを製造するときに、生菌は殺菌が面倒だということで、製造を断ってくる工場もあります。
それに対して有胞子性乳酸菌は、胞子で包まれているので、工場はあまりいやがられません。ある環境下でないと、有胞子性乳酸菌は目覚めることがないため、菌による汚染を気にしなくてもよいのです。
3.良質な毛を作るための栄養補給
毛は、ケラチンが90%以上を占めます。良質な毛を作るためには、毛や爪に含まれるケラチンというタンパク質を構成しているアミノ酸であるL-シスチンを補給します。
L-シスチンは毛髪を構成するアミノ酸であり、含有量が多いほど毛髪が丈夫で健康であると言われています。
L-システインは、生体内におけるエネルギー代謝や肝臓で解毒代謝機構に関与してます。アルコールを分解するとアセトアルデヒドが出ますが、そのデトックスにも良いそうです。生体内でL-シスチンとL-システインは酸化還元反応によって相互変換能があります。L-シスチンにもL-システイン同様の効果があると考えられています。L-システイン同様にL-シスチンにも肝機能障害改善効果が認められました。
ちなみに、人用の良質な毛を作るためのサプリメントを製造するときは、L-システインだと医薬部外品の許認可を得る必要があります。L-シスチンはその必要がありません。
L-シスチンは、損傷した軟骨の修復能も認められています。そのため、年老いた猫の関節の保護にも役立ちます。毛艶だけでなく、様々な健康効果も期待できるのがL-シスチンです。
試作品による食いつきの試験
このような成分を配合して、味付けには、「味つけなし」「かつお味」「チキン味」「チーズ味」の4種類の試作品を製造して、猫が食べてくれるかどうかを実験しました。複数の猫に4種類を用意して、どれが一番食いつきが良いかをテストし、最終的な味付けにチーズ味が選ばれました。
お客様にはとてもご満足いただきました。
今回製造したサプリメントは毛艶用ですが、犬用の関節炎対策や腸内環境・便秘改善、免疫改善などのサプリメントもOEM製造いたします。ペット用サプリメントの製造なら、実績のあるプラネットにお任せください。