サプリメントで使用する添加物(食品添加物)とは?

食品添加物とは

食品添加物とは、食品衛生法第4条第2項で「添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するものをいう。」と定義されています。

サプリメントで使用する添加物はいわゆる「食品添加物」として化学合成の添加物、天然添加物にかかわらず、厚生労働大臣が指定した食品衛生法に定められているものが使用できます。ただし、天然添加物として使用実績があると認められる「既存添加物」、天然香料及び一般に食品として供されるものであって添加物として使用される「一般飲食物添加物」については指定から除外され、使用されています。

サプリメントに使用される添加物の毒性は?

ときどき、食品添加物の法律や基準の甘い国で製造されたサプリメントを、個人輸入などで取り寄せた場合に、サプリメントに使用されている添加物で毒性が出てしまうことも考えられます。「海外から取り寄せたサプリメントを摂取して、肝臓を傷めてしまった」という噂も聞きます。

当社でOEM製造しているサプリメントでは、厚生労働省の基準や当社の社内基準に準じた製品を開発し、政府機関の認定工場で製造されています。国内で使用できない違法な添加物を配合する(または処方する)ようなことはございませんので、ご安心ください。

後ほどご紹介いたしますが、そもそも、サプリメントに使用されているビタミンやミネラル、アミノ酸なども食品添加物に分類されているのです。

食品添加物の役割

サプリメントに使用される食品添加物には、食品の製造や加工を目的とする製造用剤、風味や外観を良くすることを目的とする甘味料、着色料、香料などや、保存性を良くするための保存料、酸化防止剤など、食品の栄養成分を強化する栄養強化剤の目的で使用する添加物があります。

サプリメントの造粒や打錠の成型目的で配合する賦形剤の一部は「製造用剤」に当てはまります。サプリメントで配合するビタミンやミネラル、アミノ酸などは栄養強化を目的とする「栄養強化剤」に当てはまり、食品添加物の扱いになります。

甘味料、着色料、保存料、増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤の目的で配合した場合は、その物質名と目的(用途)の表記が必要になります。

目的(用途)の表記が必要でない食品添加物は下記のものになります。

  • 膨脹剤
  • 光沢剤
  • 乳化剤
  • 香料
  • 栄養強化剤
  • 調味料
  • 酸味料
  • 苦味料
  • ガムベース
  • 製造用剤等

サプリメントで主に使用される食品添加物の種類

サプリメントを製造する場合、サプリメントの成分だけを固めたものは、ほとんど存在しません。食品添加物として、製造用剤に含まれる賦形剤/滑沢剤/吸湿剤、光沢剤、香料、甘味料、着色料、酸化防止剤、乳化剤、栄養強化剤などが主に使用されます。それらの種類について、ご説明いたします。

賦形剤(ぶけいざい)

賦形剤とは、錠剤(打錠粒)や顆粒を製造する時に、型にはめて造る成型を目的に配合したり、目標とする大きさに造るための増量を目的に配合したり、味や香りが強すぎるために希釈して摂取しやすくすることを目的に配合する添加物のことです。

賦形剤として主に使用される成分は、食品添加物ではなく、食品原料扱いになります。賦形剤の種類には、乳糖、結晶セルロース、還元麦芽糖(マルチトール)、でんぷん、グァーガムなどがあります。

打錠の大きさなどによって、賦形剤の配合量が多くなる場合があるため、賦形剤には味に問題が無いことと有効成分と均一に混合できるといった性質が求められます。また、崩壊性や溶解性にも考慮しながら賦形剤を選択する必要があります。

滑沢剤(かったくざい)

滑沢剤とは、錠剤の原料に微量配合することで、打錠する時の圧を掛けて固める杵部分への付着(スティッキング)を防ぐことを目的に配合される添加物です。滑沢剤を配合することにより、錠剤の生産効率が高くなり、サプリメントの製造コストの削減に寄与します。

滑沢剤として主に使用される成分には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖エステル、グリセリンエステル、なたね硬化油などがあります。

※ なたね硬化油は食品添加物ではなく、食品原料扱いになります。

用語解説:スティッキング

打錠のサプリメントを製造するときに打錠された粒が型から剥がれ落ちない、つまり杵離れ(きねばなれ)が悪いと、粒の一部が型に残ります。この残留物が残ることをスティッキングと呼びます。スティッキングがあると、次の粒に凹みができてしまいます。粒に凹みができてしまうと、粒の質量が少なくなるので、相対的に成分量が少なくなり、検査のときに「成分量が規定量入っていない」という問題が発生しかねません。

スティッキングが発生すると、製造機械をストップして掃除をして作り直します。スティッキングによって作業が止まると、作業時間とロスが増えるため、商品原価が高くなります。そのために、サプリメントの企画段階で流動性や結着、すべりの悪さなど想定される配合の場合、処杵離れを良くする滑沢剤を適量処方します。

試作品での打錠テストの結果、滑沢剤を使用してもスティッキングが多発してしまう場合は、錠剤を諦めるか、粒数を増やしてスティッキングの原因となる成分が薄まるように処方の設計をしなおす場合もあります。

吸湿剤

サプリメントの錠剤を製造したり保存したりする場合、気をつけなければならないのが錠剤の水分量です。サプリメントには高い栄養価を持つものが多く、吸湿して水分量が多くなると雑菌が増え、腐敗やカビの原因となります。また、水分量が多くなると錠剤内での不要な化学反応や、錠剤の色ムラ原因となります。

これらの発生を防ぐために、サプリメントの容器の中に吸湿材としてシリカゲルを入れてあります。ところが、サプリメントに成分そのものの吸湿性が高い成分を配合すると粉の流動性が悪くなり、打錠性に悪影響を与える場合には、吸湿剤を錠剤内に直接配合する場合があります。

吸湿剤として主に使用される成分は二酸化ケイ素です。

光沢剤(コーティング剤)

サプリメントで使用する光沢剤の目的は、コーティング剤として使用します。錠剤に配合した成分が吸湿しやすい場合や、苦みや酸味、渋みや香りなどが強く、直接舌に乗せた時に不快さを感じる場合に、加工の選択肢の一つとしてコーティング剤を使用する場合があります。

コーティング剤を使用すると、作業工程が増えるため、製造コストが高くなり、商品原価に影響を与えます。当社では、ご依頼が無い限り、錠剤の表面に光沢(ツヤ)を出す目的だけでコーティング剤を使用することはありません。

また、最近はご依頼されることが少なくなりましたが、糖衣錠にするためにシュガーコーティングをする場合や、胃で溶けにくくして腸で溶けるための腸溶コーティングという特殊な加工をする場合もあります。

コーティング剤として主に使用される成分は、シェラックやカルナウバロウです。

香料

香料とは香りをつけるための成分で、食品に使用される香料は、別名フレーバーとも呼ばれています。サプリメントをより食べやすくするための香料は、錠剤でも使用されますが、ゼリータイプや顆粒タイプ、ドリンクタイプなどでは特に味の良さが求められます。

香料の種類には、自然由来の原料を使用した天然香料と化学的に合成された合成香料があります。香料の役割には、香りを強化したり補ったりするだけでなく、サプリメントの原料に、好ましくないにおいがある場合や、加工工程によって食品として適さないにおいが生じる場合に風味を矯正する目的で香料を配合する「マスキング」という役割もあります。

サプリメントに使用できる合成香料は「食品衛生法施行規則 別表1」に収載されている成分になります。これらの成分を組み合わせて食品が本来持っている香りと同じものを作り出します。ほとんどの合成香料は、天然香料に含まれる成分と化学構造的には全く同じものです。自然界と同じ化学構造をもつ成分の組み合わせでできていると考えると、合成香料も安全と考えられています。

サプリメントに使用できる天然香料は「天然香料基原物質リスト」に収載されている成分になります。植物や動物から抽出して得られた成分を、単体で使用したり、複数組み合わせて使用したりします。

甘味料

サプリメントに甘味をつけるために使われる成分です。甘味料の代表的なものに砂糖がありますが、砂糖は酵母菌の栄養源になりやすいため、酵母菌が繁殖し、品質が劣化する可能性が高くなるため、通常は使用しません。

甘味料の種類は大きく分けて、糖質系甘味料と非糖質系甘味料に分けられ、非糖質系甘味料の中で自然由来の天然甘味料と化学合成された合成甘味料に分けられます。

甘味料は食品添加物ではなく食品原料扱いになりますが、糖質系甘味料にはでんぷん由来のブドウ糖や果糖(フルクトース)、果糖ブドウ糖液糖(異性化糖)や、酵素反応などによって製造され糖アルコールに分類されるソルビトールやマンニトール、マルチトール、還元水飴、キシリトール、エリスリトール、還元パラチノースなどがあります。

糖質系では無い非糖質系の甘味料は別名「高感度甘味料」といい、砂糖の数十倍~数万倍の甘味を有します。そのため、ごく少量で甘味がつくため、糖質の摂取量とカロリーを抑えることができ、ダイエットサプリメントによく用いられます。また、高感度甘味料には虫歯菌のエサにならないために、虫歯になりにくい非齲歯性のものもあります。

非糖質系の高感度甘味料には自然の植物から抽出した天然甘味料と化学合成された合成甘味料があります。天然甘味料にはステビア、甘草(グリチルリチン)、羅漢果などがあり、合成甘味料にはアスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリンなどがあります。

甘味料にはそれぞれ甘味の強弱があります。砂糖の甘さを1とした時の、それぞれの甘味料の数値を甘味度と言います。糖質系甘味料の甘味度は0.2~1.0と穏やかな甘味になりますが、非糖質系の甘味料の甘味度は砂糖よりもはるかに高く、少量で甘味をつけることが可能です。

甘味料は、それぞれ舌に乗せた時に甘さを感じるタイミングと甘さを感じている時間の長さが異なります。甘味料の配合成分と配合量のバランスを整えることが美味しさの秘訣になります。そのため、味を調えるには経験値が重要になります。

参考:甘味の強さと時間(ツルヤ化成工業株式会社HPより引用)

着色料

着色料とは、サプリメントに色を付ける食品添加物です。以前はサプリメントにも色素がよく使われていましたが、現在は必要不可欠な場合を除き、着色料を使って欲しいとの依頼はございません。

ハードカプセルやソフトカプセルの場合、光による劣化を防ぐため、経時変化による褐変を目立たなくするために着色料を使用する場合があります。

着色料として主に使用される成分にはカラメル色素、カカオ色素(茶色)と酸化チタン(白色)などがあります。

酸化防止剤

酸化防止材とは、サプリメントの参加を防いでくれる食品添加物です。錠剤やハードカプセルの場合は酸化防止目的で配合することはありませんが、ソフトカプセルの場合、主成分がオイルになりますので、酸化防止と栄養強化の両方の目的でビタミンEを配合する場合があります。

サプリメントの酸化防止剤として主に使用する成分はビタミンE(トコフェロール)です。原料が食品衛生法で定められた28品目のアレルギー表示食品に該当する小麦または大豆由来のビタミンEが一般的のため、表示を怠らないように気を付ける必要があります。

乳化剤

乳化剤とは、油分を乳化させるための食品添加物です。打錠やハードカプセルの場合は乳化目的で配合することはありませんが、ソフトカプセルの場合、主成分がオイルになりますので、オイル以外の、本来混じり合わないものを配合する場合に、均一に分散する状態を作る必要があるために乳化剤を使用します。

サプリメントの乳化剤として主に使用される成分はレシチンとグリセリン脂肪酸エステルです。

栄養強化剤

栄養強化剤とは、栄養成分の強化のために使用される添加物で、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類に分類されます。

酸化防止剤や保存料などの目的で配合した場合には目的(用途)の表示の義務がありますが、栄養強化を目的として使用した場合には、表示の義務はありません。

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